ヨットはお金が掛かるスポーツじゃないですか?

ヨットなんて、地中海のお金持ちの遊びのようなイメージで、お金持ちしかできないものだと思ってました。大学のヨット部も、お金持ちのお嬢様やお坊ちゃまがやってるんじゃないですか?

お金がかかるスポーツを、お金を使わずに。


セレブリティが保有する地中海のクルーザーヨットはお金がかかる遊びであることは否定しません。いわゆるセレブなイメージのヨットというのは、写真右のようなセーリングクルーザーのことでしょうが、大学ヨット部で使用する2人乗りのヨットでも、艇体からセール(帆)まで全て含めると200万円近いコストがかかりますし、またこれを保管するヨットハーバーの保管料も通常なら1艇につき年間で20~30万円ほどかかるのですから、セレブとまではいかないまでも、比較的お金のかかるスポーツであることは事実でしょう。
 しかし、それはあくまで個人的にヨットを楽しむ場合のコストです。大学ヨット部の場合、レース艇はクラブの所有艇ですし、保管についても合宿所を兼ねた艇庫があります。もちろん、それらとて無料というわけではありませんが、大学からの支援金や、OB会からの援助などにより、部員の個人負担は可能な限り圧縮されています。

大学のクラブだからこそ、ヨットを選ぶ


 一般的なスポーツなら、別に大学のクラブでなくとも、社会人になってからいくらでも始めることができますが、ヨットというスポーツは、先述したとおり初期投資における個人負担が大きいために、興味があってもなかなか取り組むことが難しいというのが実情です。
 セーリングというスポーツが一般的ではなく、海際のインフラ整備も立ち後れいている日本において、大学ヨット部という場でヨットを始めるという選択は最もコストパフォーマンスに優れたものといえます。セーリングは年齢に応じた楽しみ方が可能な生涯スポーツです。そのときの体力、経済力に応じた楽しみ方で、人生を豊かにしてくれる「遊び」です。
 本学ヨット部に在籍する部員の「お嬢様/お坊ちゃん度」は、平均的な明大生のそれとなんら変わりません。つまり、お嬢様/お坊ちゃんはほとんどいないということです。なので、企業に就職した多くの若手OBは卒業してからしばらくヨットからは遠ざかる生活を余儀なくされます。でも、時間的・経済的に余裕ができたら、再びヨットの世界に戻りたいという夢を暖めています。10年以上のブランクがあっても、それなりの楽しみ方ができるのがセーリングという文化の奥深さなのです。